「もう次はない」迷いなき石田百伽のラストイヤーの挑戦

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2017年12月17日。誰もが忘れもしない慶應女子ラクロス部が創部2度目の日本一に輝いた日。彼女はスタンドで仲間の姿を応援していた。出原佳代子主将のVゴールが決まったその時、グラウンドには歓喜の輪ができた。「めちゃくちゃ嬉しかった。けど、あの泣き崩れている輪の中に入りたかった。悔しかった。」仲間の日本一への喜びとともにどこか複雑な感情が石田百伽の胸の内にはあった。

「ラクロスが楽しくなかった」————2017年シーズンは石田にとって受難の一年だった。春の六大学戦では初のトップチームを経験し、早慶戦ではメンバー入り。試合の後半には初出場を果たした。シーズンのスタートダッシュこそよかったが、早慶戦後から自分のプレーに大きな迷いが生じた。「自分が何をできる選手なのかを考えたけど、正解がわからなかった。」トップチームに居続けたいという守りの気持ちからか、ミスを恐れてプレーしてしまうようになった。その結果練習どころかラクロスに関わること自体が嫌になり、自分を喪失していた。

個人として思うようにいかなかった石田が昨年重きをおいたのは1年生への育成だった。現主将友岡阿美、櫨本美咲と3人で育成コーチを担当。自分たちが1年生の頃の育成コーチのように「妥協しないこととラクロスを楽しむこと」をモットーに引っ張ってきた。「初心者だった選手がゴールを決めて『やりました!』と笑顔で報告しに来た時は嬉しかった。ウインターで活躍したりと日本一になれたのも少しは1年生が関わっている。自分が活躍するんじゃなくても人をサポートする方法を覚えた。」自分がプレーしなくても得られるやりがいとチームへの貢献。個人として辛かった1年間でも収穫はあった。

そして迎える最後の1年。「トップチームのメンバーとして流れを変えられるプレイヤーになりたい」と意気込む。特にこだわりを見せるのは“ドロー”だ。昨年は先輩の白子未祐がほとんどの場合務めていたが、今季は複数の選手が交代交代に担当している。その中で石田は「知識と研究量は私が一番。任せてほしい」と自信を見せる。ドローについて「チームと試合の流れを決める。ドローが取れれば会場をわかせることができるし得点につながる」と語る。

そんな石田は早慶戦のドローで忘れられない思い出がある。2年生の時に早慶戦と同日に開催された慶應女子高との定期戦。スタメンとして出場ができず途中出場となったが、1年生から練習して来たドローをさせてもらえずに交代となった。「とにかく悔しくて大泣きしました」その苦い記憶を胸に迎えた3年生の早慶戦。後半にドロワーとして出場することができた。追い上げムードのチームに流れを作り、宿敵の2年ぶりの撃破に大きく貢献した。そして最後の早慶戦で狙うのはチームの最初の流れを作るファーストドローだ。

「失敗を怖がらないで挑戦したい。もう次はないし、楽しみながらも常に探究心を持ってプレーしていきたい。」不退転の決意を持って挑むラストイヤー。後悔している時間はない。今までの悔しさを晴らすべく石田は前へ進み続ける。

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