全ては4年生と喜ぶために。溝口友梨奈苦闘の日々。

8月13日、2018年の関東学生リーグが始まった。慶大にとって2年連続の日本一に挑戦するシーズン。開幕戦では昨年FINAL4でも対戦した立教と当たった。開幕戦独特の緊張感と雷による開始時間の遅延で調整の難しさもあったこの試合。同点で迎えた終盤のゴールで勝ち越し、4-3で大事な開幕戦を勝利した。

試合後、各選手は「内容以上に勝ちきれたことが大きい」とコメントしていた。日本一へ向けた最初の一戦。どんな形でも勝利が求められた試合だった。その大事な試合を溝口友梨奈はベンチから見つめていた。「出番が来たら必ず爪痕を残そうと思っていた。何かをする権利すら与えてもらえなかった悔しさがあった。」出場できるのではという話は聞いていたが、この日彼女に出番がまわってくることはなかった。

2年生になりここまで一度も落ちることなくトップチームにいる溝口。六大学戦ではスタメンでも試合に出場し、着実に主力への道を歩んでいるようにも見えた。だが、そこで一人のライバルが現れる。同期の野々垣眞希だ。同じMFでも攻撃的な選手としてプレーしていたが、DFにポジションを移すと才能が一気に開花した。5月の早慶戦では明暗がくっきり分かれてしまう。溝口は試合3日前に足を負傷。直前の練習にはテーピングを施して参加しようとしたが、足が動いてくれなかった。結果当日はスタンドでの応援にとどまった。一方野々垣は初めての早慶戦でスタメン出場。チームの勝利にも貢献し、存在感を示した。

慶應女子高校から5年間ともにラクロスをしてきたが、ポジションが違ったこともありライバルという意味で意識したことはなかった。同期が突然ライバルになり自分のポジションを奪っている。この現状に焦りを感じていたが、それ以上に控えめな性格が野々垣の存在を認めてしまった。開幕戦では出番がまわってくることはなかった。「『競う気持ちが自分には足りない』とコーチに言われた。ショックだったけれど納得してしまった。技術が自分より上の人間がいるといつも認めてしまう。」悔しくないわけがない。それでもこれが現実だと諦めてしまう自分もいた。

“先発が野々垣で途中出場が溝口”。こうした構図を打破して試合に長く出たいという思いも当然ある。「今のままではトップチームにいる存在意義を感じない。このまま日本一をとっても喜べない。」昨年と違い、試合出場に手の届く位置にいる以上自分もプレーで日本一に貢献していきたい。自信なさげに思いを語る場面もあったが、その気持ちを話すときに迷いはなかった。

トップチームとして初めて駆け抜けるリーグ戦。それとともに彼女にとって、育成からお世話になる4年生との最後のリーグ戦であるというのも意識していた。「今の4年生は強い代だし、かっこいい。」憧れの4年生とともに、自分もチームに貢献して日本一を勝ち取りたい。苦しみながらもがきながら、溝口は成長していく。

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